BRIDGE SHIP HOUSE 作・画によるTEHON「CUT」完成!

ーーどのような方、どのような気持ちの時に手に取って読んで貰いたいでしょうか?

表紙を見て、何か引っかかるような気持ちになった方にはぜひ手にとってもらいたいです。

ーー一番のお気に入りのページとその理由を教えてください。

ラストシーン最後のページです。何をしたかと同じくらい重要な、何をしなかったかについて描きました。
Matthewの心の平らさがよく出ていて気に入っています。

ーー「心には読むサプリ」のTEHONについての印象や、完成した感想を教えてください。

小さくてコレクトしたくなるような見た目が素敵だなと思いました。
サプリという言葉に相応しいものが描けるだろうかと不安がありましたが、
たくさん試行錯誤した結果多面的で前向きな絵本を完成させることができてとても嬉しく思っています。

ーーこの「CUT」は、ご自身のHPで公表されている作品の続編として描かれたのでしょうか?

単体のお話として描いたものですが、今までに公表した作品と合わせて読むとよりキャラクターを掴みやすくなると思います。
どの作品も1話完結で”Matthew”という人物の生きる時間の一部を切り取って覗き見るような描き方をしています。
大きな事件は起こりませんが、物語の中でのMatthewの行動から、彼がどんな考え方をして
どのように生きてきたのかということに関心を持ってもらうことを最も重要としています。

ーー本作やHPで公表されている絵本はモノクロの仕上がりですが、他イラストはカラーテイストも多く見受けます。
描く上で何か区別している点などあるのでしょうか?

Matthewの物語としての作品をモノクロで発表するのは、“記録”という要素を付加したいからです。
監視カメラで撮ったような、古いフィルムのような、“過去のいつかの出来事の記録”というニュアンスを持たせたいので
なるべく画面に温度感の出ないモノクロを選んでいます。

ーーマンガの様なコマ割であえて台詞や文字は描かれていないのだと思いますがそれはなぜなのか、
また作品を仕上げる際に気をつけている点があれば教えてください。

読み手には、Matthewの生きる時間の一部を覗き見るという立場に居ていただきたいので、
Matthewが「こんなことを言った」「こう思った」という情報を一切文字として表現しないようにしています。
Matthewは変わった風貌を持ち、イマジナリーフレンドであるサボテンとへんぴな土地に暮らしていて彼に関心を寄せる友人はいません。
文字は偉大なコミュニケーションツールですが、文字というツールなしで彼を理解しようとする時、
人は彼の仕草から情報を拾おうと関心を向け、気持ちを寄り添わせる必要があります。
そしてそれは彼が物語の世界では誰からもされないことなので、物語の外側にいる人の意識が
Matthewにアクセスしてくれた時に初めて他者から存在を肯定されることになります。
それがキャラク ターデザインのコンセプトにもなっています。唯一文字が使えるタイトルは、
物語全ての説明がシンプルに表現できる言葉や重要な手がかりになる言葉を使うよう気をつけています。

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BRIDGE SHIP HOUSEBRIDGE SHIP HOUSE

アーティスト。主にブラシを使い、オルタナティブコミックや
アートトイに影響を受けた作風でインナーワールドを描く。
国内外のミュージシャンのアートワークを手掛ける他、
コミックの執筆や個展での原画販売などアーティストとして活動している。